マングローブの繁る川筋をボートで進みながら野生動物を探すツアーは、お隣のマレーシアのコタキナバルやクチンでも参加することができる。しかし、クルーズの船着き場に行くのに街の中心部から1~2時間かかるケースがほとんどである。その点、ブルネイのマングローブ・リバー・サファリは、首都バンダル・スリ・ブガワンの中心部から、船着き場まで15分程度で行ける。これだけ移動が短いと、体の負担も少ないし、時間も無駄にならず、気軽に参加できる。
今回、リバーサファリの後、水上集落見学にも立ち寄ったので、そちらの様子も併せてお伝えしたいと思う。
こちらが、マングローブ・リバー・サファリで乗るボートである。船着き場といっても、桟橋もなく、ボートの舳先を伝って中に入る。
小さなボートだが、屋根付きで日光を遮ってくれるので、涼しい風を感じながら、快適にクルーズを楽しめる。
出発してすぐの風景。街にあるモスクや水上集落が見える。
出発して20分ぐらいしたら、もう周りはマングローブの森だけになってくる。
よく周囲を見ていると、様々な野生動物が見られる。
上の写真がダイサギの群れ、下の写真はコサギの群れだ。同じ、シラサギだがくちばしの色とサイズが違う。注意して見ていると、様々な野鳥がいることに気付く。ダイサギやコサギは日本にも多く生息する、それほど珍しくない鳥だが、写真には撮れなかったが、真っ青な南洋ショウビンやめずらしいシギ類を目にすることができた。
木陰でじっとしているイリエワニ。これは、素人にはなかなか見つけられない。船頭さんが見つけて、船を寄せてくれた。
このツアーで一番の目的は、このテングザルを目撃することである。この日は、遠くにいるテングザルを何回か見ることができたが、なかなか近くには寄って来てくれなかった。なんとか写真に収めたのが上の2枚だ。テングザルを見られる確率は60%ぐらいらしいので、見られただけでもラッキーかもしれない。
この古びた橋があるあたりが折り返し地点である。
奥に小さなモスクのようなものがあるのだが、こんな奥地で誰が利用するのだろうか?
帰る途中に、あらかじめ仕掛けてあったカゴを引き上げる。
この日の獲物は、小さなノコギリガザミの子供が一匹だけだった。
行きに遠くに見えていたモスクが、すぐ近くに見えてきた。
水上集落に到着。思ったよりも、かなり大きな集落である。
集落の近くには、水上のモスクもある。
水上集落に上陸? 細い桟橋の小道が迷路のように張り巡らされている。電柱もあり、すべての建物に電気が来ているようだ。
年中暑いこの国で水上集落が発達した理由がよくわかる。地上よりはかなり涼しい。
船着き場から5分ほど歩いて、カラフルな一軒のお宅に到着。
外観はそれほど豪華に見えないのだが、中はこんなに素敵な内装。もちろん、観光客向けに造られた施設で、どこのお宅もこんなに豪華なわけではないだろう。
珍しいお菓子でもてなしてくれる。ココナッツ風味のお餅。おそらく緑色はパンダンリーフで着色したものと思われる。マラッカやペナンでよく見られるプラナカンのお菓子に似ている。
壁には、家族やご先祖様、王様などの写真がたくさん飾られていた。
天井の装飾も美しい。このデザインや色使いを見ても、やはりプラナカンのお宅に近い。
今回は、視察日程の関係でマングローブ・リバー・サファリから直接、水上集落の見学に向かったが、現在販売されているオプショナルツアーでこれと同じ日程のものはない。マングローブ・リバー・サファリは8時と16時に出発するボートに合わせて、1日2本の設定がある。所要時間は2時間ほどだ。水上集落の見学は、市内観光とセットになっており、こちらも9時発と14時発の2本設置がある。所要時間は約3時間半だ。
左右に広がるマングローブの森を、何か野生生物がいないか、必死で目を凝らしながら探す。ちっとしたゲーム感覚で、見つかるととてもうれしい。また、街から船着き場まで車で15分程度というのは非常に楽だ。体力もあまり消耗しないし、8時のボートに乗れば10時までにはホテルに戻れるので、そこから1日たっぷり時間を使える。
水上集落の見学も、他ではなかなか体験できない。おもてなしをしてくれるお宅は、少々観光客向けではあるが、水上集落そのものは普通に人々が生活している場所であり、そこで目にする風景は独特のものである。
いずれも、なかなか有意義な体験であった。
シリーズ「ボルネオ島の平和な小国ブルネイ」
3、マングローブ・リバー・サファリと水上集落見学
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