マレーシアの国土は大きく分けてマレー半島とボルネオ島の2つに分かれている。マレー半島の先端にはシンガポールがあり、ボルネオ島の半分はインドネシアだ。
ボルネオ島にはサバ州とサラワク州、2つの州があり、そのうちサバ州の州都がコタキナバルシティーだ。コタキナバルシティーは、それほど大きくはないが、大型のショッピングセンターやホテルが立ち並ぶ近代的な街だ。おいしいシーフードが食べられるレストランがいくつもある。
しかし、街から一歩踏み出すと、世界遺産キナバル山を中心としたキナバル公園やトゥンクアブドゥルラーマン海洋公園など、豊かな自然を満喫できる。海岸沿いには、高級リゾートホテルも点在している。そんな、コタキナバルの多彩な魅力を体験できるおすすめスポットをご紹介して行こう。
コタキナバルは夕日の名所として知られている。「夕日の名所なんてどこにでもあるよ!」と思われるかもしれないが、コタキナバルの夕日は名所と言われるだけあって格別に美しい。そんな、夕日を見られるスポットからスタートしよう。
1、シグナルヒル展望台
コタキナバルシティーの東側の丘の上にある「シグナルヒル展望台」。街に向かってせり出すような感じで設置されている。ここから、街の向こうの南シナ海に沈む夕日を写したのが冒頭の写真だ。小さな売店や軽食コーナーもある。徒歩で登ることも可能だが、道が暗く、夜はひったくりに会う可能性もあるのでタクシーで行くのが無難だ。
夕陽が沈んだ後の景色も美しい。
2、タンジュン・アル・ビーチ
コタキナバルシティーから、車で10分ほどの場所にある「タンジュン・アル・ビーチ」。美しい白い砂浜が続き、海水浴もできる。周辺には、おしゃれなカフェやレストランも多い。
そして、こちらも夕日の名所だ。シグナルヒル展望台で上から見た夕日を、こちらではビーチから眺める。水平線に消えゆく夕日を見に多くの人々が集まってくる。
日が落ちると、空の色が一変する。夕焼けがビーチに映り込み自然のアート作品ができあがる。
3、コタキナバル市立モスク
コタキナバルシティー北側の郊外にある「コタキナバル市立」モスク。トルコブルーのドーム型の屋根と4本のミナレットが美しい。コタキナバル最大のモスクで12000人を収容できる。礼拝のある金曜日およびイスラムの行事がある日以外は、観光客も内部を見学することができる。
建物は人工のラグーンに囲まれており、水面に映るモスクとのシンメトリーな構図で写真が撮れる。
4、ハンディクラフト・マーケット
コタキナバルシティーのウォーターフロントにある、様々なものが売られている市場。昔はフィリピンマーケットと呼ばれていた。長さ200mほどの長方形の建物の中に雑然とお店が詰め込まれているような感じで、ちょっと日本では見かけないディープな世界だ。
通路はとても細く、その左右に所狭しと商品が並んでいる。ちょっとしたお土産になるような雑貨も多いので探検気分を楽しみながら掘り出し物を探してみよう。
ハンディークラフトマーケットの周辺には、他にも様々なマーケットがある。こちらはウエットマーケット。魚や野菜などが売られておりコタキナバルの市民が集まる。日本ではあまり見かけない魚や野菜も多く、見ているだけでも楽しい。
ウエットマーケットにはフードコートが隣接している。安く食事を済ませたい方にはおすすめのスポット。
5、サンデーマーケット
コタキナバルシティーのガヤストリートで、毎週日曜日に開催されるマーケット。
アクセサリー、衣類、サングラス、工具など、様々なものが売られている。野菜や果物、お菓子など食品もある。
驚いたのは、猫などのペットも売られている事だ。鳥やハムスターなども見かけた。
6、スリア・サバ
コタキナバルシティーには、いくつか大型のショッピングセンターがあるが、店も多く利用しやすいのがこの「スリア・サバ」だ。海外や国内のファッションブランド、お土産店、デパートなどが入っている。フードコートの他、レストランやカフェもたくさんあり、食事にも便利だ。
スリア・サバの内部は吹き抜けになっている。明るく開放的で店も探しやすい
人気のシューズブランド「ビンチー」をはじめ、マレーシアローカルブランドの衣類、バック、アクセサリーなどがそろう「パディーニ・コンセプト・ストアー」。
7、スリ・セレラ
コタキナバルの名物は、やはり新鮮なシーフード。「スリ・セレラ」は、シーフードレストランが集まったフードコンプレックス。コタキナバル市内中心部にある。
主に4つのシーフードレストラン(古村・珍珠・双天・華興)があり、テーブルクロスの色により、どのお店の席がが区別されている。
どのお店もたくさんの水槽が並んでいる。ここで、食材を選び、料理方法を指定する。イセエビやマッドクラブ、ハタ、バンブーフィッシュ、カブトガニ(日本では天然記念物)、タイワンガザミ、ウチワエビなど様々な生きた食材が揃っている。
完成した料理は次々とテーブルに運ばれてくる。
8、オーシャン・シーフード
ちょっと高級な店で落ち着いて新鮮シーフードを楽しみたいなら「オーシャン・シーフード」がおすすめ。
このお店の水槽は、とにかく大きい。数えられないほどの種類の魚介類が揃っている。こちらも食材を選んで料理方法を指定するスタイルだ。店内には各食材の100gの料金が表示されている。食材を選ぶとき、店員に重さを聞くことができるので、料金がはっきりわかる仕組みになっている。
イセエビは刺身でも食べられる。残った頭はミソスープにしてもらえる。
9、カンポン・ネラヤン
「カンポン・ネラヤン」は、コタキナバル郊外にある人工池に浮かぶシーフードレストラン。
団体ツアーで利用されることも多く、かなり広い。
こちらも並んだ水槽から食材を選ぶタイプのレストランだが、その特徴は民族舞踊ショーを見学しながら食事ができることだ。19時30分にショーがスタートするのだが、この時間になるとステージ周辺の席は満席になることが多い。早めに行って、いい場所を確保しよう。
10、ジャリジャリスパ
「ジャリジャリスパ」は、スリア・サバの中にある、手軽に利用できるスパだ。
ジャリとは、マレー語で指を意味する。ボルネオ島にあるサバ州には、38の民族が暮らしており、それぞれが独自のマッサージ方法を持っている。このジャリジャリスパでは、サバ州最大の民族「ドゥスン族」に伝わる3種類のマッサージを提供している。
メニューは、ジャリジャリスパのホームページで確認を。お値段は60分で150リンギット前後(約4500円)のものが多い。
マッサージには、すべてボルネオの植物から採取したオイルが使われている。
リゾート風の落ち着いた雰囲気の中で施術が受けられる。写真は、フットマッサージを受ける場所。奥に個室がある。
11、キナバル公園
コタキナバルのシンボルと言えが、やはり世界遺産キナバル山だ。
標高4000メートルのキナバル山に登るには、途中小屋で1泊する必要があり、2日間の行程になる。それなりの装備と体力が必要だ。必ずガイドと共に登る必要がある。
キナバル山公園内にある植物園や、キナバル山の全景を眺められるナバル村などへはツアーに参加すれば簡単に行くことができる。熱帯雨林に囲まれたトレイルを歩いて植物園に行くだけでもちょっとした探検気分を味わえる。
植物園では、数種のウツボカズラをはじめ、多くの珍しい熱帯植物を観察することができる。運が良ければ、クワガタ虫などを目にすることも。家族で連れにもお勧めのスポットだ。
12、ポーリン温泉
「ポーリン温泉」は、第2次世界大戦中に日本軍が掘り当てた温泉だ。小さく区画された浴槽に自分でお湯をためて入れるようになっている。常にお湯が張られている大きめの風呂や足湯、温水プールもある。
キナバル山公園のツアーに参加すれば、ほとんどのコースがこのポーリン温泉にも立ち寄る。
外の風呂は無料だが、有料で個室型の風呂もある。こちらはプライベートで楽しめるし清掃も行き届いている。
ツアーでポーリン温泉を訪れた場合、なかなか風呂に入っている時間はないが、もし入浴を目的にここを訪れるなら、こちらの個室がおすすめだ。 写真はデラックス個室で1時間20リンギット。ジャグジー付き。スタンダードな個室は1時間15リンギット。いずれも鍵付きなので家族やカップルでも安心して楽しめる。
温泉のある場所から10分ほど登ったところにキャノピーウォークがある。高さ41m、全長157mのコースだ。人が一人やっと通れるぐらいの幅だが、太い木の周りに展望台が設けられており、景色や野生動物などを観察することもできる。基本的に無料だが、カメラを持ち込む場合5リンギットの持ち込み料がかかる。
13、ロッカウィ・ワイルド・ライフパーク
2007年にサバ州野生生物局によって造られた動物園。オランウータン、テングザル、ボルネオ象などボルネオに住む貴重な野生動物を間近で見ることができる。その他、サイチョウ、マレー熊、マレー虎、ウンピョウ、カワウソなど様々な動物がいる。広い園内をトラムに乗って移動することもできる。
ボルネオ島の固有種、テングザル。
1日2回、専用シアターにて動物たちが登場する楽しいショーが開催される(金曜休)。45分のショーだが、単に動物が出るだけではなく、いろいろとユーモアに富んだ仕掛けがあり、大人でも楽しめる。
14、マリマリ文化村
マリマリ文化村は、コタキナバルから30分ほど離れた森の中にある。ボルネオ島に住む5つの民族の住居や生活の様子を再現した屋外型のテーマパークだ。1日3回ガイドツアーがあり、内部を見学するには必ずいずれかのガイドツアーに参加する必要がある。コタキナバルシティーからの公共交通もないので、現地ツアーに参加するのが便利だ。
テーマパークとはいえ、各民族の家で案内をしてくれるのは、それぞれの民族の人たちだ。造りものではない、リアルな各民族の生活の様子を体感できる。上の写真はルンダヤ族の住居で、木の皮をなめして衣服の材料を作る様子を見せてくれる。ルンダヤ族の方が身に着けている服も、もちろん実際に使われているものだ。
ムル族の家にはトランポリンがある。竹や蔓など森にある素材で作られたものだが、かなり高く飛ぶことができる。ムル族の若者たちの身の軽さに驚かされる。観光客も体験することができる。
最後に5つの部族の若者たちによる舞踊ショーが見られる。
15、サピ島
コタキナバルシティーの沖には大小5つの島々からなる「トゥンクアブドゥルラーマン海洋公園」がある。一番大きいヤ島、マムティック島、マヌカン島、スルグ島、そしてサピ島の5つだ。コタキナバルシティー内にあるジェッセルトンポイントや車で10分ほどのステラハーバーから船が出ている。
サピ島は、トゥンクアブドゥルラーマン海洋公園の島々の中で最もビーチが美しいと言われている。シャワーやトイレ、売店など設備も整っている。ただし、ロッカーが無いので手荷物の管理には注意が必要だ。
島に入るには、10リンギットの入島料が必要。
海水浴だけでなく、シュノーケリングやダイビングも楽しめる。
島内には、巨大なミズオオトカゲが生息している。何もしなければ害は無いが、近づくと強力なしっぽではたかれる事もあるので、あまり近寄らないように。
まとめ
コタキナバルの観光、グルメ、ショッピングスポットをまとめてみたが、いかがだっただろうか?コタキナバルシティー内のスポットは徒歩やタクシーで行けるが、郊外のスポットは、基本的に日本語オプショナルツアーで行くことをお勧めする。値段は少々高いものもあるが、移動の効率や手続き、チケット購入などの手間、言葉の問題を考えればリーズナブルだ。
コタキナバルのホテルは、コタキナバルシティー内にシティーホテルがたくさんあるほか、南シナ海に面する海沿いに大型リゾートホテルが4つ、その他ガヤ島にも3つのリゾートホテルがある。今回は、ホテルに関しては取り上げなかったが、また別の機会に詳しくご紹介したいと思う。
最後におまけの一枚。トゥアランという小さな町の魚市場で撮影したものだ。日本のスーパーでは、ここまで新鮮なものは見たことが無い。光を反射すると体が蛍光色に光る。おそらく、港から運ばれたばかりなのだろう。鄙びた小さな田舎町だが、食卓は意外と贅沢かもしれない。
トラベルガイド株式会社代表 ライター・カメラマン
阿部吾郎
掲載情報は予告無く変更、中止される場合があります。予めご了承下さい。